「本の読み方 スロー・リーディングの実践」 平野啓一郎 著

        


最近、ブログを書くことが

目的になってしまい、

きちんと本が読めていない

気がしていました。

そこで、インプット大全や

アウトプット大全を再読しつつ、

読書について書かれた本を

手当たり次第読んでみようと

Amazonで検索すると、

平野啓一郎さんも読書に

ついて書かれていることを知り、

早速購入。

 

 

      

 

 

 

それがこちら

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」

平野啓一郎 著

 

本当の読書は、単に表面的な知識で

人を飾り立てるのではなく、内面から

人を変え、思慮深さと賢明さとを

もたらし、人間性に深みを与える

ものである。そして何よりも、

ゆっくり時間をかけさえすれば、

読書は楽しい。私が伝えたいことは、

これに尽きると言っていい。  

闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、

味わい、考え、深く感じる豊かな読書へ。

本書が、その一助となれば幸いである。

 

さらに

 

一年間に何冊読んだ、といった類の

大食い競争のような読書量の誇示にも

辟易していた。

〜略〜

速読とは、「明日のための読書」である。

〜略〜

 それに対して、スロー・リーディングは、

「五年後、一〇年後のための読書」である。

〜略〜

長い目で見たときに、間違いなく、

その人に人間的な厚みを与え、本当に

自分の身についた教養を授けてくれるだろう。

 

 

思慮深さ、賢明さ、人間性の深み、教養!

 

全て、私に欠けているものじゃないか!!

欲しい。💕

喉から手が出るほど

欲しいアイテム。

 

 

この言葉を読んで、スローリーディングは、

投資とよく似ていると思った。

 

短期投資が速読で、長期投資が

スローリーディング。

 

短期投資は、売り時、買い時の

目利きが必要と言われるが、

博打的要素が強く、着実に

資産を増やすという目的には

向かない。

 

一方、長期投資は、素人でも毎月

一定額を積み立てていけば、多少の

リスクはあれど、着実に資産が増えていく。

 

スローリーディングも、わからない言葉を

読み飛ばすことなく、コツコツ調べながら、

時間を見方につけ、読み込んでいけば、

著者の言う「思慮深さ、賢明さ、人間性

の深み」を身につけることができるということ。

 

なんかやれる気がしてきた。

 

なぜかというと、2〜3年前まで、

体が硬くて絶対に無理だと思って

いたポーズが、毎晩30分以上

ストレッチ&ヨガを続けたおかげで、

できるようになった。

 

つまり、ゆっくりだけど、この方法が

着実に成果を上げる方法だと

自分自身が実感しているから。

 

読書を始めた当時は、量をこなせば

私のような教養の欠けている人間でも

なんとかなると思っていた。

でも、この本を読んで、それが

間違いだとわかった。

 

特にこの部分。

 

記憶に残りやすいのは、自分にとって

馴染みのある言葉や、自分が普段から

関心を持っている言葉である。あるいは、

トラウマとなっている出来事に関する

言葉を、「無意識」に拾ってしまう

かもしれない。

〜略〜

現に何を読んでも「今までの自分」

という殻からは一本調子の感想しか

抱くことのできない人は、世の中

にもたくさんいるのである。

そういう人は、自分で自分の周りに

檻を作ってしまった囚人であり、

いつまで経ってもその狭い檻から

抜け出せず、その中からし、世界を

見ることができないのである。

 

 

おっしゃる通りなのだ。

最近、同じような感想しか書け

なくなっていて、どうして

だろうと思っていたのよね。

でも、この部分を読んで、ズバリ

それを言い当てられたという感じ。

 

なら、どうすればいいのか?

 

この本では、以下のことに、

注意して読むように書かれている。

 

 

 

  • 助詞、助動詞に注意する。
  • 辞書癖をつける
  • 作者の意図を考えながら読む
  • どうして?と考えてみる

 

そこで、今更だけど、言葉をしっかり

勉強しようと思い、中学の文法から

やり直すことを決心。毎晩続けている

ストレッチと同じように、地道に参考書

の問題を解いている。

 

 

「作者の意図を考えながら読む」

 

一見、どうでも良いような設定がある。

あるいは、情景の描写だとか、主人公の

ほんの些細な仕草だとか。

そうした細かな点を、私たちは

読み落としてはいないだろうか?

〜略〜

私たちは、小説を読むとき、細部を

捨てて、主要なプロットに還元する

読み方をやめて、むしろ、プロットへの

還元から零れ落ちる細部にこそ、目を

凝らすべきである。

 

推理小説であれば、どこかに伏線が

隠れているかもしれないと、慎重に

読むことはあっても、細かい部分は、

読み飛ばし、話の展開がどうなるのか?

それだけを追っていく読み方だった。

 

ここに気づかせてくれたこの本は、

本当にすごい。

 

さらに、この本の後半で、

「こころ」や「高瀬舟」といった

名作を題材に、本の読み方を

作家の立場から、解説されているので、

とてもわかりやすく、感動もの。

 

 

その充実っぷりといったら、

あーた。

もう鼻血レベル←低脳の語彙力

 

例えるなら、少年野球デビューした

小学生が、いきなりイチローから

野球を教えてもらっているぐらい

贅沢な内容。

 

ただ一つ、気になる言葉があった。

 

速さに委ねられるのは、必然的に

どうでもいいような内容の仕事となり、

丁寧さにこそ、重要な仕事が委ねられる

ということになる。

 

著者は、どうして「どうでもいいような

内容の仕事」と表現したのだろう。

 

”どうでもいい仕事”ではなく、

”どうでもいい内容の仕事”と言って

いるけど、それでも

 

”どうでもいいような内容の

仕事”なんてないと私は思うので、

残念な表現だなと思った。