「人間椅子」江戸川乱歩 著

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最近は、若い頃に読んで

おけばよかったなと思う本を

片っ端から読んでいます。

 

版権が切れているのもありますが、

Kindleならば、0円で

巨匠たちの作品が読めてしまう

んですから、すごい時代です。

 

 

ということで、今回は

江戸川乱歩です。

 

 

 

 

 

まずは人間椅子。

 

この題名、江戸川乱歩の

作品だと知ってはいましたが、

筋肉系女子の私が、イメージ

していたのは、スクワットを

する時の空気椅子。

 

それこそ「空気椅子」だったら

どんな内容になっていたんだ。

主人公の男性、辛すぎっ。

 

さて、冗談はさておき、

本題に話を戻しましょう。

 

 


 

あらすじ

 

主人公の男性は、椅子職人。

 

彼は、椅子の中に

人間ひとりが余裕で

隠れる(生活する)ことが

できる椅子を作りました。

そして、その椅子は、

ホテルのラウンジに

置かれることになりました。

 

椅子の中に忍び込んだ

男性は、その椅子に座る人々の

息遣いや、身体の特徴などで、

どんな人間が座っているのかを

認識できるように、なっていました。

 

ところが、そこにたまたま座った

異国の若い女性に、男性は、今まで

感じたことのない興奮を覚えます。

 

 

薄い鞣皮一重を隔てて肌の

ぬくみを感じる程も、密接

しているのでございます。

それにも拘らず、彼女は何の

不安もなく、全身の重みを

私の上に委ねて、見る人の

ない気安さに、勝手気儘な

容体を致して居ります。

 

私は椅子の中で、彼女を

抱きしめる真似をすることも

出来ます。

 

その外、どんなことをしようと、

自由自在なのでございます。

 

 

私の様な醜い、そして気の弱い

男は、明るい、光明の世界では、

いつもひけ目を感じながら、

恥ずかしい、みじめな生活を

続けて行く外に、能のない

身体でございます。

 

 

江戸川乱歩先生のイメージは、

小学生の頃に読んだ怪人二十面相

しか残っていないので、この本を

読んで、先生の本は大人の読み物

だったことを今更ながら知りました。

 

それにしても、この作品エロいですね。

 

 

さて、人間椅子化した

彼でしたが、後半になると、

こんな手紙を女性に送りつけます。

 

奥様、一生の御願いでございます。

たった一度、私にお逢い下さる訳に

は行かぬでございましょうか。

そして、一言でも、この哀れな

醜い男に、慰めのお言葉を

おかけ下さる訳には行かぬで

ございましょうか。

 

 

 

このとき、女性が漏らした言葉、

 「オオ、気味の悪い」

 

 

これを読んだ時には

私は、すっかり手紙を

受け取った女性に

なりきってしまって

いるので、まさにこの言葉

の通り、気味が悪く

 

きゃ〜ほんとに

逢いに来ちゃったら

どうしよう💦

 

怖すぎっ〜〜〜!

ドキドキが止まりません。

 

ところが!!

ラストは、驚きの展開に。

 

いや〜見事でした。

主人公の変態性が凄すぎです。

 

自分を哀れで醜い男と

表現しているせいか、

不気味さを増幅させています。

 

 

でももし、この男性が、

自分を卑下する言葉を

使っていなかったら?

 

自分を醜い男だと

思い込んでいるだけで、実は

イケメンで、女性のタイプ

だったら?

 

いろいろ妄想してみたのですが、

自分を卑下する言葉を使うのは、

人生、損をしている気がしました。

 

私は元々卑屈な人間なので、

この本を読んで、

これからは、もっと自尊心を

高めようと思いました。