成熟脳 黒川伊保子 著

        f:id:uranairen:20220306114830p:plain

 

今日、紹介する本は、

脳研究を基とした、男女脳の

すれ違いを書いた随筆や、

語感に関する著作を執筆されて

いる黒川伊保子さんの

 

「成熟脳」という本です。

 

私は、NHKのシブ5時という

番組の悩み相談に著者が出演

されているのを知っている程度で

他の本は読んだことはありません

でした。

 

ですが、Amazonさんから

この本どう?と勧められ、

「56歳から始まる!!」という

魅力的なタイトルに誘われて、

ポチりましたが、大正解!!

 

とても面白かった。

 

 

特に興味深かったところ。

 

 

もの忘れは老化ではなく進化

 

最近は、Apple Watch使っているので、

日々のタスク管理ができるので、

買い忘れや、やらなければならない

ことを忘れる機会が減りました。

 

しかーし、顔はしっかり

覚えているのに

名前が思い出せない。

ドラマに出てくる俳優の名前は

もちろんのこと、困るのは、

職場で新しいメンバーの紹介が

あっても、覚えられないこと。

 

さらに困るのは、友人との

会話。私は彼女たちの話を

聞いていたにも関わらず、

次に会った時にはすっかり

忘れて、同じことを聞いてしまい、

友人から「それ前に言ったけど」と

ムッとされてしまうのだ。

 

流石に失礼だと自覚し、

人との会話をしっかり日記に

残しておこうかと考えていた

ところだった。

 

しかし、著者によれば

もの忘れは老化ではなく進化

だという。

 

脳科学の所見上、ことばは、

今を生きることに必要で

無くなったものから消えていく。

本質を瞬時に見抜く脳になるために、

究極の直感力に到達するために、

脳は「今、生きるのに、直接必要ない」

とおぼしき回路の優先的順位を下げていく。

 

 

要は脳が、「今、生きるのに直接必要ない」

と判断しているから。

 

確かに。彼女たちとの雑談は、直接自分の

生活には必要のないもの。

どんどん忘れて、自分にとって重要かつ、

新しい情報に置き換えていかなきゃね。

友人にも教えてあげなきゃ。

 

 

人は、やがて、この世に

別れを告げる準備に入る。

遅かれ早かれ、人は、

いくばくかのことばを失っていく。

多くは、覚えた逆順に、

消えていくに違いない。

そうして、最後は、人の手の

ぬくもりだけを頼りに、

もと来た場所へ帰っていくのである。

その人生のはじめに、母の手に

なにもかもゆだねたように。

その道のりを憂うことはない。

今とこれからを生きるために

必要でないものを捨て去り、

魂はきっと身軽になっていく。

誰もが行く道である。脳には、

その行き方が最初から

プログラミングされているはずだ。

 

オギャーと生まれて、教わった

わけじゃないのにおっぱいを吸い、

目の前の人の言葉を獲得し、

寝返りを打ち、歩き出すまでの

工程はあらかじめ脳に仕込まれた

生体プロブラムがあるように

最後の道のりもきっと同じ。

 

脳に抜かりはない

 

著者のこの言葉がこの本の中で一番好き。

 

今まで、これほど説得力のある言葉に

出会ったことがなかったので、

私はその時がくるまで、この言葉を

信じて、生きていこうと思った。