日本永代蔵 井原西鶴 著

先日、戦略読書日記という本を読んでいたら、

この本について書かれていたのがきっかけ。

図書館で借りてざっと目を通してみたら、かなり

面白かったので、Kindleでポチってしまった。

 

昔の言葉を調べながら読み

進めなくてはならず、

かなり時間がかかりました。

 

 

 

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凡人にとって、一生の一大事は世渡りの道!

金銀は、命の親。

両親と金銀は同じぐらいありがたく

大切なもの。

命は、長いようで短い。

中国の詩人は

「天地は万物をやどす宿屋のようなもの

歳月は永久に過ぎ去る旅人のようなもの

人生は夢まぼろしのようなもの」

死んでしまえば金銀なんてなんの役にも

立たない。

何によらず金銀の力でかなわないことといえば、

天下に生・老・病・死・苦の5つがあるだけで、

それより外にないのである。

とすれば、金銀にまさる宝がほかにあろうか。

 

ほんとにそうなの。

私が過去にがんを疑われ、先はないかも

と思ったとき、自分が今までコツコツ

貯めてきたお金が無意味なものに思えた。

 

だがしかし、喉元過ぎれば何とやら

今となっては、この本の通り、

命の次に大事なものだと思う。

 

お金に対する著者の考え方なのか

この後に続く物語は、どうやって、

商売が成功したのか?はたまた

大失敗したのか?

 

まるで、ドキュメンタリーのように

お話が進んでいく。

 

中でも江戸時代の恐ろしい

風習に驚いた。

 

それは、お寺で金貸しをしていたこと。

 

しかも翌年に倍返し。

 

武富士レベル。

 

が!ここに強者が登場。

 

 

一貫文を寺から借りて、

十三年目には、元一貫文の銭を

八千百九十二貫文に増やしたという。

 

その強者がどうしてそんなに

お金を増やしたのか?

 

その強者は船着場で船問屋を

していた。

 

ある日お寺からお金を借りた途端、

商売が大繁盛。

 

そのありがたいお金の由来を

漁師が船を出す時に語り、

百文ずつ貸し付けたところ、

借りた人々が次々に好運に恵まれ、

その話は遠くまで広まり、

多くの人がお金を借りに来ては、

返済され、お金が増えていったのだそう。

 

そして、この増えたお金を

借りたお寺(水間寺)に

どーんと馬に乗せて運んだところ、

水間寺の僧たちは感動して、

「後の世の話の種にしよう」と、この

銭で、宝塔を建立したそうな・・・

 

信心深く、欲深くない人間は、

出世するということをお寺側は

広めたかったのだろう。

 

どこかで聞いたことのある商法よね。

 

お寺の作り話じゃないかと

疑ってしまう私の心は、

やはり荒んでいる。

 

 

そして、もう一つ、今も存在する

会社のお話。その名は越後屋。

 

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時代劇の悪代官として有名な

あの越後屋。

 

 

しかし、この本に登場する越後屋は、

革新的な手法で商いを繁盛させると

いうお話。

 

 

それまでの商いは、今でいう外商のような

システムで、商人が得意先に出向いて、

注文を取っていた。

しかも支払いは後払い。

 

信用のある武士や豪商に

限られた商売だった。

 

ところが、この越後屋呉服店は、

 

現金払いOK!

 

商品の価格を下げて、

店頭販売を始めたのだ!

 

つまり、その場で現金を

受け取れるので、信用のない

庶民に対しても商売が可能に

なったというわけ。

 

一部の金持ちより、庶民の

数の方が圧倒的に多いわけだから、

そりゃ繁盛するわね。

 

この革新的な商売を始めた越後屋

だったけど、Wikipediaを調べてみると、

この後、嫉妬した同業者から迫害を

受けて、移転に追い込まれたそう。

 

いつの世にもあるのね〜。しみじみ

 

また、他の章に登場した”藤市”という

人物は、相場や情報など記録魔

だったので、「わからないことは、

藤市に聞け」と言われるほど、

重宝がられたそう。

 

まるで、Googleさんのようだわね。

 

私がOLしていた頃、親しくしていた

専門商社のおじさんは、パソコンを

使わなくても倉庫にある在庫の数を

完全に把握していると聞き、驚いたが、

もしかしたら、人間も潜在意識などを

利用すれば、AI並みにデーターを

保存できるのかもしれないね。

 

 

さて、この本を読んだ感想だけど、

江戸時代の日本人は、さまざまな商売

をしては、成功と失敗を繰り返し、

とにかく性根逞しい。

 

なのに、今の日本はどうだろう。

起業ブームではあるけれど、

実行している人はほんの一握り。

 

つい先日、どんな仕事についている人と

結婚したい?というアンケートで、

1位と2位は公務員だった。

 

とはいえ、私だってサラリーマンの娘。

安心、安定を求めてしまうんだけど、

 

お金儲けは悪いことというイメージを

植え付けてしまった日本の教育や、

マスコミの責任は大きいと思った。