「それでも読書はやめられない」 勢古浩爾 著 

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2週間に1度、図書館へ行くように

なった。

前は、本を借りてきても

結局読まずに返してしまうことが

多かったのに、最近は、借りた本の

8割は読めるようになったので、

自分でも驚いている。

 

おそらく、自分の読書の力量がわかる

ようになったからかもしれない。

 

それと、今更だけど、

自分の好きな分野が

わかってきたせいかも。

今日は、その好きな分野の

 

エッセイから、

 

「それでも読書はやめられない」

勢古浩爾 著 

 

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を紹介します。

 

最近、すっかり勢古さんの

ファンになってしまい、

図書館でこの本を見つけた時は、

心の中でガッツポーズ。

 

でも、脳内でもう一人の私が、

「ファンなら本を買え!」と

囁くので、次回はAmazonで

ポチらせていただきます。

 

 

 

著者の言う本読みの極意、守破離とは?

 

王道である義務としての「名作」

の読書を経て(守)

やがて無謀にも「名著」に挑むように

なり、いかに敗退したか(破)

「ああ、おもしろかった」という読書

本来の自由で楽しい読書の原点に

戻ってくることができたか(離)

 

本来の意味は

「守」「破」「離」

守破離とは茶道や武道などの

芸道や芸術における師弟関係の

あり方の一つ。

 

師匠から教わった型を徹底的に

「守る」

自分に合ったより良いものを

模索し、既存の型を「破る」

 

さらに鍛錬、修行を重ねて、

師匠から教わった型から

「離れる」

 

 

私は全く王道を歩いていないな。

ずっと勝手気ままな読書で

きてしまった。

しかも、名作名著の違いも

わからなかったよ。泣

 

 

p58

「名著」は脅迫する。

読まないと損をするぞと。

いや、名著それ自体は脅迫しない。

インテリのなかにたまに、

世界の名著を読まない奴は

話にならない、というような

ことをいうものがいる。

かれらが脅迫するのである。

 

p60  

脅迫する人間がときおり出現

するから要注意、ということ

である。脅迫されて、自分で

無用な強迫観念にとりつかれ

ることのないように。

 

 

これって、本に限らず

言えることだと思った。

用心用心

 

勢古さんの本がなぜ

こんなに面白いと思えるのか

考えてみたんだけど、

 

建前で語られる本が多い中、

辛辣な言葉が続く時はある

けど、正直でズルさを感じ

ないところ。

 

人間性ってやっぱり

文字からも伝えわって

くるんだと思った。

 

p26

わたしも何を読んだらいいのか、

さっぱりわからなかった。

なんのとっかかりもないのだ。

本屋に行けば山のように本がある。

しかし、何をどう選べばいいのか。

 

私は若い頃、自分の無能さを痛感し、

本を読めば「無能」という病気が

治るかもしれないと思い、本屋へ

行くのだけど、何を読んだら

いいのかわからず、とりあえず

「教養」と名のつく本を

買えば間違いないと思い、

一般教養試験の問題集を

買ってしまった苦い経験がある。

 

家族も友達もだれ一人として

本を読まない環境で、現代の

ようにネットもない時代では、

本当に何をどうすればいいのか

わからなかった。

 

それを考えると今はいいよね。

ブログや動画、SNSで検索すれば

いろんな界隈の人が、読書に

ついて語ってくれてる。

 

 

そういえば、この本を読んで

いて、思い出した読書の

思い出がある。

 

23歳までの私は、アパレルの

店員だった。なので、

実務経験すらなく、パソコン

なんて触ったこともなかった。

 

ところが、バブル全盛当時の

派遣会社は、人手が足りない

こともあり、簡単に登録する

ことができた。

 

おかげで私は派遣会社に

入り、担当者から勧められるがまま、

とある会社の面接を受けることが

できた。

 

朝、待ち合わせ場所に着くと、

派遣会社の担当が、先方には、

パソコンが使える人材を連れて

行くと言ってあるので、話を

合わせて欲しいと言ってきた。

 

ええっ?私に嘘をつけと?

入社できちゃったらどうするの?

と思いながらも何も言えず、

促されるまま履歴書を持って

会議室に入った。

 

すると、タバコをプカプカ

ふかしたおじさんが私を待っていた。

 

面接が始まると、案の定

「パソコンが使えると

聞きましたが?」

と聞いてきた。

 

私の心臓はバクバク。

脇汗が半端ない。

 

「いえ、大したことは

できないんですけど・・・」と、

 

謙遜風に言ってみる。

 

すると、

 

「そうですか・・実は

CADを扱って欲しいと

思ってまして・・

どうでしょうか?」と聞いてきた。

 

どうでしょうかって言われても、

CADがなんなのかわかりませんけど

・・😅

 

ポカーンという顔をしていると、

コンピューターを使って設計を

すると説明してくれた。

 

いやいや私ができるわけないじゃん!!

と大声で言ってしまいそうになったが、

派遣会社のメンツもあるだろうと思い、

「頑張りますっ!」と心にもないことを

言ってしまったのだった。

 

帰宅し、絶対受かるはずないし、

万が一にも受かったところで、

嘘がバレて、辞めさせられるに

違いない。

 

ちぇっ

無駄な面接だった。

 

と思いながら、

転職雑誌を眺めていると、

なんと、「来週から行ってください」と

派遣の担当から連絡が来てしまった

のだった。

 

そして、ついに嘘がバレる日が

やってきた。

 

なんて言い訳しよう・・・

 

困惑した顔で、その会社に行くと、

私の机の上には、なんと!

パソコンの入門書が積まれて

いたのである。

 

すると突然「やあ!」と面接を

してくれたおじさんが現れた。

私は、嘘がバレてる!!と

パニックになりながら、

 

「よ..よろしくお願いします」

と言うと、おじさんは、

「どうぞかけて」と相変わらず

プカプカとタバコをふかし、

私に言った。

 

このおじさんは、設計部の

課長さんだそうで、私の直属の

上司になった。

 

そして、上司は私に

「あなたが、パソコンに

慣れている人だと最初から

思っていませんでしたよ。笑

仕方ないよ。派遣会社も

商売だしね。

でもあなたには、CADを

扱えるようになって

もらいたいので、ひと月

あげるから、パソコンに

ついて学んでください。」

ということだった。

 

 

それから私は、机に積まれた

パソコンの入門書を読み、

使い方にも慣れて、CADの

使い方もマスターし、上司が

描いてくれる手書きの設計図を

パソコンで製図することが

できるようになった。

 

ある日、その上司とランチを

していると、会社に戻る前に

一緒に図書館に行こうと

誘ってきたので、ついて

行くことにした。

 

上司は、本を選びながら、

「君は本を読まないの?」と

聞くので、本は読まないし、

図書館で借りたこともないと

言うと、「本が読めると

なんでもできるように

なるんだよ。

パソコンだって、君が本を

読んだから使えるようになった

んでしょ?だから、君が

結婚をして、何を料理しようか

迷った時や、園芸や子育ての

悩みなど、すべて本さえあれば

全てわかるんだよ。」と

話してくれた。

 

それまで、読書は、純文学や

小説など、難しいものを

読むことだと思っていたので、

上司の言葉は目から鱗だった。

 

この上司は、私の父と同じくらい

だったから、今は80代ぐらいだと

思うのだけど、元気かな・・・

最近、本を読んでいると

思い出しちゃう。

 

だって、この上司がいなかったら、

本を読むことで、何かが

できるようになるという

成功体験を積むことなく、

人生を終えていたかもしれない。

そう思うと感謝の気持ちで

いっぱいになる。

 

だから、私も読書は

やめられない。