「何者」朝井リョウ 著

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息子が大学を休学していた時、

留学先で、日本の本が読みたいと

いうので、私のKindleを彼と

シェアしていました。

 

今では、彼が私のKindleを

見ることはありませんが、

私は時折、彼が当時購入した

本を読むことがあります。

 

今日紹介するのは、その時、

息子が購入した本です。

 

「何者」 朝井リョウ 著

 

当時、息子も就活に向けて

色々考え、この本を

購入したのだと思います。

 

この本は、直木賞受賞した本

なので、前から読んでみたいと

思っていましたが、小説は

苦手な上に、私の年齢で

就活ネタの小説が読めるか

不安もあり、手付かずの

ままでした。

 

ところが先日、実家に帰る道中、

新幹線で本を読もうと思ったら、

Kindleに新しい本をダウンロード

していなかったので、読んでみる

ことにしました。

 

読み始めてみると、とても不思議

だったのは、彼らが直接会って話

しているのに、その場の状況をまるで

テレビの実況中継のように発信して

いること。

しかも互いにフォローし合ってる。

 

SNSなんてなかった時代の私には、

ちょっと違和感。

 

私は高校を卒業して、すぐに

就職したので、就活というものを

経験したことがありません。

 

なので、彼らの気持ちが分かるとは

思えなかったけど、普段は表に出る

ことのない人間の感情が、とても

リアルで、話の中にグイグイ引き込

まれました。

 

この本の最後で、理香が拓人に

放つ言葉が、本人にここまで

言っていいのかと思うほど、

あまりにも辛辣で、

ストレートだったのが

とても印象的。

 

というか、この本の全てが、

この理香の言葉に

集約されていると思った。

 

このとき、拓人は、理香から

否定されてしまっているけど、

誰も彼を責めることは

できないと思う。

 

自分だけが、「何者」かに

なれていると勘違いしている

人は多い。

 

自分はただの傍観者なのに、

行動している人を平気で嫉妬し、

見下し、罵倒することなんて、

この世の中に溢れかえっている。

 

自分もそういう人間なんだと

気づくことが、大事なんだと思った。