終末のフール 伊坂幸太郎 著

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pixabay
 

 近い将来、小惑星が落ちてきて人類滅亡?!そんな想像したことはありませんか?私が若い頃は、日本沈没というドラマや、ノストラダムスの大予言などがが大流行したこともあり、怖くなり眠れなくなったことがあります。

現在、把握できている小惑星は、この先100年は、衝突しないだろうと言われているそうですが、把握できていないものもたくさんあるそうだよ。あらま、どうしましょう。💦

 

なぜこんな話から始まったかというと、今日の課題図書が伊坂幸太郎さんの「終末のフール」だからです。以前、「グラスホッパー」を読んでとても面白かったので、次に読むならこの本だと決めておりました。

 さて、どのような内容かというと、8年後に小惑星が地球に衝突すると予告されてからの、団地に住む人々それぞれの物語。

 

印象に残った場面

 

鋼鉄のウールより

(Kindle の位置No.2418)

 「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」

〜略〜

「できることをやるしかないですから」

 

 

苗場さん、男っす。私の中のイメージは、若かりし頃の高倉健さん。できることをやるしかない。ほんとその通りだよね。その時が来たら自分にできることなんて何もない。それなら、自分がどうしたらこの人生に満足できるのか?ただそれだけに時間を費やしたいと心から思った。

 

 

天体のヨールより

(Kindle の位置No.2907)

 

「衝突する時、おまえはどうしてる?」

二ノ宮はそこで頬をゆるませ、いつもの強張った目つきをやわらげ、俺に向かって笑った。

「もちろん、望遠鏡を覗いているよ」

「もちろんなのかよ」

「だってさ、今までは、地球から何十万キロとか何百万キロ離れた彗星を見て、喜んでいたんだよ、僕たちは。それがもっと間近で見られるんだ。しかも、横に流れて行くどころか、こっちに近づいてくるんだからさ」 

 

私も二ノ宮くんみたいに思えたらどんなにいいだろう。この彼のように思える人は、なかなかいないだろうけど、命をかけて何かを成し遂げてしまう人って、この二ノ宮くんみたいな人なんだろうと思った。

 

深海のポールより

(Kindle の位置No.3707)

 

「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ」

「義務」と私はその言葉を反芻してみる。

「そう。だからみんな、他人を殺してでも生き延びようとする。自分だけでも助かりたいってな。醜く生きるわけだ、俺たちは」

 

 

(Kindle の位置No.3984)

「生きられる限り、みっともなくてもいいから生き続けるのが、我が家の方針だ」土屋さんが、河川敷のベンチで私に言った言葉も思い出される。 

 

私は、NHKのワイルドライフという番組が大好きなのだけど、そこに登場する動物たちは、生き延びようと懸命に、そして死に物狂いで生きている。そんな姿を見ているとまさにこの本の言葉の通りだと思った。

 

 

この本は、3年後に小惑星の衝突によって誰もが同時期に死んでしまうという設定だけど、小惑星は降ってこなくても、死は、全ての人にもれなく平等にやってくる。いつか来るその日まで、私はこの人生をどう生きるか?

 

 

深海のポールより

(Kindle の位置No.4014)

 

「じたばたして、足掻いて、もがいて。生き残るのってそういうのだよ、きっとさ」 

 

私も、最後まで足掻き続けようと思いました。