「ガンジス河でバタフライ」いい本だった〜

最近、インドに興味を持ち始めて、インド映画のランキングサイトやインド旅行を体験した人たちのブログを覗いていたら、本の表紙が、あまりに衝撃的だったので、好奇心をくすぐられ、早速Amazonでポチり。何が衝撃的かというと、女性でありながらガンジス河で本当にバタフライしている画像が目に飛び込んできたから。私の中のガンジス河のイメージは、神聖な河だけど、ヤバイ河。なんせ消毒、滅菌大好きな日本人にとって、無謀としか思えないでしょ?

ということで、父の介護で上京した際、新幹線の中で一気に読みました。いや~久々に旅本を読んで感動しちゃいました。


「ガンジス河でバタフライ」

 

ガンジス河でバタフライ (幻冬舎文庫)

ガンジス河でバタフライ (幻冬舎文庫)

 

 


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歳の夏、私はありったけの勇気を振り絞って、ようやくひとり旅に出る決意をした。旅立つと決めたのはいいが、さて、どこに行けばいいのやら。そうだ香港はどうだろう。初めての旅にアジアは最適な気がするし、私は香港映画が好きときてる。

チケットを買った瞬間から、私はもう生きた心地がしなかった。死んだらどうしよう、殺されたらどうしよう、なぜだか死への恐怖ばかりが募る。こんなにも自分の死を意識したのは、子供のとき、「人はいつか死ぬ」ということを知って、眠れなくなって以来のことだった。気がつくと私は、日常のいたるところに「旅にでなくて済む理由」を探していたのだ。

 

本の表紙の勇気ある行為が頭にあったので、出だしから、いい意味で予想を裏切られ驚いた。実は、私も海外旅行が大好きなくせに出発前になると、飛行機が落ちないか?死んだらどうしようなど、クヨクヨと考えるタイプ。飛行機に乗っている間、少しでも搖れると、座席の肘おきをガシっと掴んで、心の中で「神さま仏様~~~」と叫ぶほどビビリンな奴なので、めっちゃ共感を覚えました。ところがですよ!この本を読んでいくと彼女がものすごい変貌を遂げるのです。もちろん旅の間にたくさんの経験をしたからなんだけど。


どこの国も、行ってみるまでは怖く思えて仕方がない。だけど、インドでさえこうなんだから、きっとこの世にはそんなに変わった国もないし、そんなに変わっている人もいないんだろう。秘境や辺境などと呼ばれる場所でも、住んでいる人にしてみればごくごく普通にそこで暮らしているだけの話で、変わった場所だと思い込んでいるのは、そこに行ったことのない人の偏見なのに違いなかった。
私はずっと「スゴい人」になりたいと思っていたし、スゴい人になるには、何か「スゴいこと」をしなくてはいけないとも思っていた。でもこの世には、そんなにスゴい人も、そんなにエラい人もいないように思えてきた。世界中どこの国の人も「メシ食ってクソして寝る」毎日を過ごしていて、私の生活とそう変わりはない。みんな、たまたま生まれた場所で、それぞれの普通を生きているだけなのだ。

バラナシで過ごした間、毎朝のようにガンジス河に昇る太陽を前にして、私は自分自身という存在を忘れ、大自然の一部になったように感じられていたことを思いだしていた。自分がちっぽけな、取るに足らない存在だということを受け入れたことで、逆に私はもっともっと大きくなれる可能性を手に入れたような気がする。

 

 

自分を受け入れるって本当に大事なんだね。

~おわりに〜
考えてみれば、出会う人、出会う人、今度いつ会えるか分からない人ばかりです。友達なら、「まぁ、また会えるだろう」なんていうふうに油断していますが、その時のその人に会えるのは、本当に「その時」だけなのです。旅先で出会った友人とだって、「そのうちゆっくり会おうよ」なんて言いながら、月日が流れてしまったように。
人は、すべては永遠に続くものだと、心のどこかで思っています。昨日に変わらない今日があって、今日に変わらない明日があって、そうやって毎日がずっと続いていくような気がしています。でも本当は、永遠なんてこの世にありません。人も自分自身も、変わり続けています。親も恋人や友達との関係だって、時を経て、少しずつ形を変えていくように、すべてちょっとずつちょっとずつ、その変化に気づかないぐらいの速さで、変わり続けています。毎日は当然のようにやって来るから、ほっといても朝が来てほっといても夜になるから、日常の重みを時に忘れてしまいそうになるけど、本当はいつだってかけがえのない時間が絶え間なく流れていて、そんな中で、私たちは生きています。胸が痛いほど、切ない時を。噛みしめる間もないほど、生き急ぎながら。

 

日本にいると、清潔だし、安全だし、守られてるから、いつもの毎日がやって来ることが当たり前になってしまうのは、当然だと思う。でも一歩、違う環境に飛び出した時や、想像していなかった出来事が起こった時、私たちがこうして当たり前のように食事をして、生活できていることや、仕事ができて、お金がもらえていることがいかに凄いかに気づくことができる。

日々感謝して生きようと思わせてくれる感動の1冊でした。