「すぐ死ぬんだから」内館牧子 著

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前回紹介した「終わった人」が

 

とても面白かったので、

 

内館牧子さんの他の本に

 

興味を持ちましたが、

 

Kindle Unlimitedには、

 

内館さんの本が少なかった。

 

残念。

 

ところが、先日、借りていた本を

 

返しに図書館へ行くと、なんと!!

 

次に読みたいと思っていたこの本

 

「すぐ死ぬんだから」が、目の前に

 

置いてあったんです。

 

私が図書館を利用するのは、

 

珍しい本や、高価な本だけで、

 

図書館にはあまり期待して

 

いなかったので、正直驚きました。

 

 

主人公は、78歳の女性、ハナ

 

「若いわね」「とても78歳には見えないわ」

 

と誰からも言われるほど。

 

本人は、日頃の努力の賜物、

 

褒められて当然だと思っている。

 

旦那も旦那で、常日頃から、

 

自慢の妻と公言しているものだから、

 

彼女の鼻はさらに伸びる。

 

ところが息子のお嫁さんは、

 

彼女とは正反対で、着る物に

 

全く頓着しない。

 

なので、お嫁さんとの会話のたびに、

 

主人公ハナの心の声が、炸裂。

 

もうそれが強烈で、笑っちゃうほど。

 

p47

由美は実は気が強く、

猫をかぶっていたのは半年くらいだった。

その上、この貧乏臭い女は、

結婚以来二十二年間ずっと、

日常はジャージ姿だ。 

 

 

「由美ちゃんは肌の手入れを始めて、

薄化粧をすれば絶対きれいだよ。

よく似合うと思うよ、この色」

精一杯優しく言う私に、由美は、

「きれいな色!ステキですねぇ」

と胸に当てた。 

 

死ぬほど似合わない。

シイタケが桜餅を

当てているようだ。

 

 

 

 

シイタケが桜餅、、、、💦

 

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想像しちゃったよ。

 

 

 

この二人のやりとりを読みながら、

 

私と姑の関係に、似ていると思った。

 

私の姑もセンスがよく、

 

いつも綺麗に着飾って、

 

三越で買い物をし、

 

友人と帝国ホテルでお茶を

 

するのが何よりの楽しみでした。

 

一方、嫁の私は、夜の銀座で

 

働いていたぐらいですから、

 

結婚当初はしっかり化粧をして、

 

ヒールも履きこなし、

 

姑に負けないぐらいおしゃれに

 

気合が入っていました。

 

が!!

 

子供が産まれると、被っていた

 

猫が100匹ぐらい逃げていき、

 

本性丸出し。

 

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つっかけ履いて、破れたデニムに

 

Tシャツで、近所に住む姑の家に

 

出かけ、大口開けて大笑いする

 

ような嫁に変貌していたのでした。

 

当時の姑も、ハナと同じように

 

私のことをシイタケだと

 

思ってたかな〜。

 

ほんのちょっと、申し訳ない

 

気持ちになった。

 

実を言うと、先日、いつも行っている

 

美容師さんに、白髪を染めるのが

 

面倒だから、坊主にしちゃおうかと言うと、

 

「お洒落な坊主をイメージしているなら、

洋服や小物にも気を使わなきゃいけないし、

品のいい人しか似合わないから、

やめたほうがいいですよ。」  

 

 

と、ハッキリ言われてしまったのだ。

 

私のこと、よく分かっていらっしゃる。

 

自覚はしていたものの、他人から

 

言われると結構ショック。

 

そこで、時間もある今こそ、

 

もう少し綺麗に見栄えよく、

 

変身すべきではないか考えた。

 

だがしかし、考えれば考えるほど、

 

自然に任せるか、綺麗に着飾るか

 

という選択は、持ち家派VS賃貸派の

 

論争のように決着はつかない。

 

要するにどちらにも長短があり、

 

自分はどっちを選べば幸せでいられるかだ。

 

ところが、世間では、化粧をしない女性は、

 

社会人として失格だの、さも当然のように

 

語れている。

 

化粧品会社が作った常識じゃないの?笑笑

 

 

でも、主人公のハナの

 

「外見がもたらす力はバカにできない」

 

という言葉は、十分身に染みている。

 

 

それでも楽でありたい。

 

だから、他人にどう見られるかを

 

意識したものではなく、

 

自分が化粧をしたり、おしゃれを

 

することで、心が晴れやかに

 

なることの方が、大切だと思った。

 

 

 

p87

長い時間がたったよね。

回らない口で、「はいあっぷる」って

喜んでいた苺が、50だもん。

 

 

ハナと旦那の岩造が、子育て

 

していた当時を振り返っている場面。

 

まだ私が子育てに追われていた

 

時期に、10歳年上の知人の女性に

 

子育てが終わって、夫婦二人に

 

なるってどうですか?と

 

聞いたことがある。

 

彼女は、「つくづく、子供がいてくれて

 

よかったと思ったわ。」と言うので、

 

「もう独立して、一緒に住んでいない

 

のにですか?」と返すと、

 

「二人で子供との思い出を話す

 

楽しさがあるから」と、言っていた

 

のを思い出した。

 

 

別にそれが子供ではなく、

 

ペットでも、二人の歴史と、

 

思い出があれば、

 

この先もずっと縁側で茶を

 

すすれる仲でいられる気がする。

 

 

ちなみにうちの息子は、

 

シチューは、お汁だから、

 

大人はシツユと言っていると

 

勘違いして、五歳になるまで、

 

ずっと「母ちゃん、今日は

 

シツユがいい!」と、

 

言ってたっけ。懐かしい。

 

 p113

後期高齢者の死など、町をバスが

走るのと同じに当たり前のことなのだ。

 

 

立花隆さんも言っていたけど、身近に

 

いる人が、次々にいなくなっていくと

 

こんなふうに思えるんだろうな。

 

 

 

あとがき

p321

「自分が自分に関心を持っている」

ということこそ、セルフネグレストの

対局である。

高齢者が外見への意識を持つことは、

持って生まれた美醜とは無関係だ。

経済的に、また生活環境的に、

自分に手なんかかけていられないと

言う人たちもあろう。

しかし、許される範囲でやることこそ

「意識」ではないか。それがもたらす

微かな変身が、生きる気力に直結する

ことは確かにあるのだと思う。

 

 

 

確かに!!

ものすごい説得力。

 

 

こうしちゃいられない。

 

さて、何から始めようかしら。

 

 

考えてみたら、きくち体操の

 

足裏のマッサージで、

 

カサカサの踵をピカピカに

 

したくせに、顔のマッサージを

 

してこなかった。

 

よし!顔のマッサージから

 

始めて、すっぴんでも血色の

 

いい、お婆ちゃんを目指そうかな。