「イン・ザ・プール」奥田英朗 

 

     f:id:uranairen:20191220123120j:plain

Pixabay

 

11月は、息子の新居探し、そして今週は日帰りで父の病院に付き添いと、上京が続いています。おかげで新幹線での読書がとても楽しい。Kindleも買ったしね ( ̄▽ ̄)

たまには、笑える本はないかしら?探していたら
ありました!!「イン・ザ・プール」奥田英朗 著です。

確か昔、読んだ気がするけど、内容はすっかり忘れています。

いや〜〜笑いました。電車の中ですから、「ぶっ」っと吹き出してしまい、「ゲホゲホ」と咳っぽく誤魔化しましたが、これは、電車の中で読んじゃいかんやつでした。


主人公の大森和雄が夜中、呼吸困難になり、原因不明の下痢などが続いたことがきっかけで、精神科医の伊良部先生を訪ねます。

診察室に入るシーン
本来の病院なら、「次の方どうぞ。」が一般的でしょうが、伊良部先生の場合、「いらっしゃーい」で迎えてくれる。いいのか悪いのか?
そして、いざ診察になったら、紹介してくれた内科医からのカルテを見たよといきなり「心身症」「心の病」「典型的」と言い放つ。
とても真っ当な医者とは思えないのだけど

 

「いやな上司がいて、じゃあ毒でも盛る勇気があるのかと言ったら、あなた、ないわけでしょう」

かまわず話している。

「つまりストレスなんてのは、人生について回るものであって、元来あるものをなくそうなんてのはむだな努力なの。それより別のことに目を向けた方がいいわけ」

「と言いますと・・・」

ほう、何か策でもあるのかと思った。

「たとえば、繁華街でやくざを闇討ちして歩くとかね」

和雄が三たび眉間にしわを寄せた。

「これはシビれるよ。つまらない悩み事なんて確実に吹っとぶ。なにしろ追われるわけだからね。命すら危ないときに、どうして家や会社のことなんかクヨクヨできるのよ」

本気で言っているのだろうか。軽いめまいがする。

「実際、そういう治癒例もあるんだよね。硬貨にも触れないくらいの潔癖症だった患者が阪神大震災で被災して、夢中で毎日を送っているうちに治ってしまったとかね。地震は呼んでも来ないから、ま、やくざが妥当な線かな」

「で、わたしに、やくざを襲えと・・・」

「たとえばの話だよーん。あはは」

 



この本を読んでいたら、ある女性のことを思い出しました。

若いころ知り合った女性で、全身アトピーで苦しんでいました。そのせいなのか綺麗好きを通り越して、めちゃくちゃ潔癖症でした。
それまで、毎週会ってご飯を食べていたのに、連絡が来なくなり、他の友人たちとアトピーが悪化したのではと心配しておりました。ところが3ヶ月だったか半年だったか忘れたけど、ある日突然連絡があり、会うことになりました。

会って、まずびっくりしたのは、それまで深々と被っていた帽子はなく、笑顔でキラキラ輝いていました。

聞けば、彼女を心配した海外に住むおじさんからインドに来ないか?と誘われ、訪ねて行ったそうです。そしてそこで生活するようになったら、いつの間にかアトピーが良くなったと言うのです。私たちは、あんなに潔癖症だったあなたが、インドに行くなんて信じられないと騒いでいると、自分でも信じられないと言っていました。

 




確かに伊良部という医者は、ひどいと思います。私が患者だったら、ブチギレてます。
でも意外と本質を突いてる気がするんだよな〜

彼女、今頃どこでどうしているだろう。